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将来予測
20年前に行った 中国の将来発展予測
どんな予測だったか
 まず、5年後に中国は国際社会における注目度と影響力で日本を抜くと述べました。これに対し誰もが不思議そうな顔をしました。崩壊の可能性も十分に考えられる重病人の国だという見方がみんなの間に広がっていたからです。ところが実際は私の予想をはるかに超えて進みました。1年後にはHarvard 大学でのJapan Seminarには人が集まらずChina Seminar は超満員と伝えられました。5年後の1998年にはClinton大統領が訪中して各都市を巡り、中国の人々に親しく話しかける努力を行いました。米国がアジアの中で中国を最も重く見ていることは明らかになりました。その理由はどんな予測をも超えて急激に発展した経済力にあります。中国の輸出総額は93年以降、年率15%で伸び5年間で2倍になりました。この結果、米国に対して巨額の貿易黒字となりましたが、これを全て米国債の購入に当てたため、米国は中国の「ご機嫌」を気にせざるを得なくなったのです。

 予測の第2弾は将来の中国の経済力についての予測です。私は2,30年後、中国はGDPで日本を追い抜くだろうと予測しました。この私の予測は「それはない」という声と続く大笑いで打ち消されました。当時、中国のGDPは日本の1/8でしたし、日本のGDPは相変わらず年率15%ほどで伸びていましたから、中国のGDPが日本を追い抜く可能性などまったく考えられなかったからです。しかしそれから16年たった2009年に中国のGDPは日本を抜いて世界2位になりました。予測より10年はやかったことになります。誤算の原因は日本のGDPが1995年以降まったく伸びなかったことでしょう。

 予測の第3弾は50年後の予測です。これこそ私の予測の核心ですが、私は50年後の世界の状況の予測からはじめました。それは一言でいえば、Europe の「自己閉じこもり主義」です。ソ連崩壊後のEurope再統一のあと、Europeの内部結合力は強まりました。経済的にも文化的にもです。そして外部、特にAsiaに対しては「Europeに来るな」という感じです。必然的に日本はAsiaに戻らざるをえないし、AsiaはAsiaで固まらざるをえません。ところがAsiaには、Europeのキリスト教のような精神的結合力はありません。あるのは、相互経済依存という便宜だけです。つまり、将来日本が生きる世界は「Asia経済連邦」です。その実質的中心は、人口と経済力で他を圧倒する中国しかありません。そこまで説明して、結論を次のように述べました。「50年後、日本は完全にAsiaに戻り、中国連邦の一員になる」です。これは、「やめてくれ」と言う奇声と「そんな馬鹿な」と言う抗議の表情で迎えられ、それに続く大爆笑はいつまでも収まりませんでした。

 私は爆笑を抑えるために、私自身は長年の体験で痛感しているが、多くの日本人が見逃している1点について注意をうながして、講演を締めくくりました。それは次の点です。日本がAsiaに戻るというと、多くの日本人は安心します。今まで少しムリして白人と付き合ってきたのに、今後は同じ肌のひとたちと本音で話せるという気がしてです。でもこれは完全な間違いです。今まで外国人といえば、欧米人としか付き合ってこなかった日本人にとって、アジア人と付き合うのは、頭の切り替えが必要で、決してやさしい事ではありません。問題は、日本人と欧米人との間では当然であった人格的信頼関係が、Asia では必ずしも期待できないからです。それは両方を体験した人々がみんな大筋において認めることですから、かなり根本的な理由があるはずです。これについて私はこう考えます。日本でもEurope でも武士あるいは貴族が支配した時代が長く続き、「同格者と認めた相手には信義をまもる」という武士文化が、社会全体にも影響を与えました。同格者 (Peer) とは、自分一人の力で生きるもの同士が、相手の力を認めて生まれる観念で、個人主義と自治の伝統の長いEuropeでは、基本概念です。これに対し、中国や他のAsiaの国々では、官僚が大衆を支配したため、大衆の間では、地位の上下の観念はあっても、「同格者」の観念と「同格者間の信義」の観念は育ちませんでした。それがあるのは、Elite の間だけです。徹底した大衆であったMao Zedongにもそれはなかった、それが彼が中国で成功した原因だと考えます。「今後中国との付き合いで注意すべきは、毛沢東的人間だ」と述べて私は話を締めくくりました。
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